平成30年6月松江市議会のご報告
開会(6月13日)
6月13日から開会の6月定例市議会は、7月3日までの21日間の会期で開会しました。
6月13日の初日の市長提案の議題は55件。このうち、条例案件は、職員派遣が可能な団体に特に人的援助を要する団体を含める条例の一部改正や、市税賦課徴収条例の一部改正、放課後児童クラブの支援員の資格要件を緩和する条例の一部改正、上下水道料金の基本使用料算定を使用期間に応じた日割計算を行うための条例の一部改正など9件です。
また、単行案件は、八雲幼保園整備(建築)工事の請負契約締結同意や市道の認定・廃止の3件。予算案件は、水道事業と下水道事業の補正予算2件。承認案件は、3月30日付けで専決処分を行った条例の一部改正や補正予算の13件です。
報告案件では、平成29年度一般会計予算繰越明許費の繰越など予算繰越5件や、市土地開発公社・市スポーツ・文化振興財団・松江勤労福祉振興協会など市が出資している9団体の経営状況説明書、議会の委任による専決処分報告14件(工事関係4件、事故や道路瑕疵による損害賠償10件)で計28件です。
このうち、予算関係は、平成30年度補正予算が水道事業と下水道事業の補正予算2件で計956万円余、事業の確定によるものです。
承認案件の、平成29年度補正予算9件(一般会計1件・特別会計5件・公営企業会計3件)は、特に緊急を要するため議会を召集する暇がなく3月30日付けで専決処分したもので、一般会計の主なものは、一般職退職者が5名増えたことの4,885万円余、2月豪雪による農業施設の復旧支援に1,780万円余、除雪費に1億7,970万円余それぞれ増額したものです。
報告案件の平成29年度繰越明許費の繰越しで、継続費の逓次繰越し、事故繰越し5件(一般会計3件(明許1・逓次1・事故1)、公営企業2件(水道・下水道))です。
一般質問
6月18日から20日までの3日間は、松江市議会6月定例会一般質問が行われました。6月18日(月)の一般質問(代表質問)には、松政クラブから2名が代表質問を行いました。
- 野津照雄議員
- 大橋川改修事業について
- 中海、宍道湖、日本海の漁業振興、環境整備について
- 地域振興について
- 農地集積、中間管理機構について
- 宍道湖、大橋川、河川の水質環境、水草、藻について
- 水道事業表彰について
19日(火) ・20日(水)の一般質問には、松政クラブから、三島 進議員、野津直嗣議員、野々内 誠議員、細木明美議員、米田ときこ議員が質問台に立ちました。
※松江市ホームページのうち「松江市議会」では速やかな情報提供の一環として、平成30年度からインターネットによる動画配信をしています。提供準備ができて会議録が作成されるまでの間、配信しています。
6月29日の議会全員協議会
6月29日、議会全員協議会の開催があり、まず、「島根原子力発電所3号機、新規制基準に係る安全対策に関する事前了解願の提出について」が協議事項となりました。松浦市長は、「本件について了承するかの判断をしたいので、議員の意見を賜りたい。」と挨拶の後、議長から各会派からのまとめた意見を求められました。
その結果、我が松政クラブは、全員の総意として、市においては原子力規制委員会での審査後に稼働についての最終判断をするという手順が考えられることから、このたび事業者が行う申請については「異議はない。」と回答しました。真政クラブは会派内多数決によって「容認する。」、公明クラブは「容認する。」、友愛クラブは「容認する。」とし、市民クラブは「会派内同一とならない。」、共産党議員団は「同意すべきではない。」としました。これを受けて松浦市長は、「了とする意見が多かったように思う。近日中に判断を行いたい。」と述べました。
次に「出資団体経営状況報告」があり、市が出資している、市土地開発公社や公益財団法人松江市スポーツ・文化振興財団など9団体から報告、質疑が行われました。
本会議最終日(7月3日)
最終日は、議題161号「松江市手数料徴収条例の一部改正について」の追加提出から始まりました。建築基準法の一部改正に伴い、同法第43条の接道要件が道路法にいう道路に加え農林道等の道も対象となったことから、新たな建築申請手数料などを定めるものです。建設環境委員会に付託されたため同委員会の開会があり一時本会議は休憩しました。
本会議が再開され、議案15件、承認13件、計28件、また陳情6件について、5常任委員長と島根原子力発電対策特別委員長が審議報告を行い、質疑がありました。その結果議案は、原案通り議決されました。
また、陳情のうち、陳情第11号「島根原子力発電所3号機の新規制基準適合性審査申請に関することについて」、陳情第12号「島根原発3号機の新規制基準適合性審査申請の可否判断について」、陳情第13号「島根原発3号機における新規制基準への適合性確認審査申請について」、陳情第16号「中国電力による島根原発3号機の適合性審査申請に対して慎重な議論を求めることについて」の4件は、島根原子力発電対策特別委員長の報告どおり、不採択と決しました。陳情第14号「公園等の公共的な空間における受動喫煙防止対策の徹底を求めることについて」と、陳情第15号「公園等の公共的な空間における受動喫煙防止対策の徹底を求めることについて」は、教育民生委員長の報告どおり、採択しました。
閉会前には、松浦市長から発言の申し出があり、今議会の原案通り議決へのお礼と会期中に起こった大阪地震の見舞い、地震や水害等の災害対策、中核市としての順調な滑り出しを報告した後、「島根原子力発電所3号機、新規制基準に係る安全対策に関する事前了解願」についてふれ、議会や原子力発電所環境安全対策協議会等の意見を踏まえ、事業者が行う申請を了解したいと考える、市においては原子力規制委員会での審査後に稼働についての最終判断をすると述べると共に、回答に合わせ数項目の要請を行うことも明らかにしました。
本会議最終日7月3日においての意見書の決議
議員提出議案4件を審査しました。そのうち、松政クラブが提案し議会運営委員会総意で提出した議員提出議案第4号「地方財政の充実・強化を求める意見書」、議員提出議案第5号「中小河川の河道掘削に要する予算の確保等を求める意見書」、議員提出議案第6号「子どもと電子メディアに関する問題に対し、国に対策強化を求める意見書」は、全員賛成で議決しました。また、共産党議員団が提出した議員掲出議案第7号「核兵器禁止条約の調印・批准を政府に求める意見書」は、賛成少数で否決しました。
決議された意見書(下記)は、国の関係機関に提出されることになりました。
地方財政の充実・強化を求める意見書
松江市をはじめとする地方自治体は、地方創生や人口減少対策、国土強靱化のための防災・減災事業など、地域の実情に沿ったきめ細かな行政サービスを担っている。社会保障費の増嵩など様々な行政課題に対する財政需要は増加の一途にある中、松江市は職員定数や投資的経費の見直しなど行財政改革を進め、懸命な歳出削減努力を行ってきているが、法令等で義務付けられた経費や国の補助事業など、独自の削減が困難なものも多いのが実情である。
住民に身近な行政サービスの担い手である地方自治体が、今後も安定的に行政サービスを行うためには、適切な人材確保を進めるとともに、地方税・地方交付税等の一般財源総額の充実確保が不可欠である。
よって、国においては、平成31年度の地方財政対策、税制改正の検討に当たり、特に下記の事項を実現されるよう強く要望する。
記
1 社会保障関係費の増大や地域の防災・減災対策、地域経済の振興など地域の活性化対策に的確に対応するため、一般財源総額を充実・確保すること。その際、地方交付税の法定率の引き上げを含めた抜本的な見直しを行い、累積する臨時財政対策債に頼らない安定的な地方交付税総額を確保すること。
2 いわゆるトップランナー方式を含む地方の歳入歳出の効率化を議論する場合には、条件不利地域等、地域の実情に配慮するとともに、住民生活の安心・安全が確保されることを前提とした合理的なものとし、地方交付税の財源保障機能が損なわれないようにすること。
3 地方自治体では独自に行財政改革に取り組みながら基金を積み立てているが、これは不測の事態による税収減や災害等に備えるためのものであり、地方の基金残高の増加を理由とした地方交付税等の削減は今後も行わないこと。
4 地方財政の財源が大幅に不足している現状に鑑み、今後とも地方税制の拡充強化に努めること。その際、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系を構築すること。
5 固定資産税は、市町村財政を支える基幹税であることから、現行制度を堅持すること。平成30年度税制改正において創設された償却資産に対する固定資産税の時限的な特例措置については、今回限りのものとし、その期限の到来をもって確実に終了するとともに、その期限までの期間内であっても対象の拡充は断じて行わないこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成30年7月3日
松 江 市 議 会
中小河川の河道掘削に要する予算の確保等を求める意見書
平成28年8月の北海道・東北豪雨や、平成29年7月の九州北部豪雨など、近年、中小河川において土砂の流出による河床の上昇や、流木等による橋梁での河道埋塞が発生しており、河床が上がっていることが洪水発生の原因の一つとなっている。
しかし、都道府県及び市町村が管理する河川の流量確保のための河道掘削については、維持補修の範囲として、各々の単費予算で行われており、十分な対策が進んでいないのが実情である。
こうした中、国土交通省は中小河川の豪雨対策を強化するため、平成29年12月に全国の中小河川の緊急点検の結果を踏まえた「中小河川緊急治水対策プロジェクト」を取りまとめ、中小河川の河道掘削についても再度の氾濫防止対策の一つとして同プロジェクトに盛り込み、平成29年度補正予算で約1,300億円が計上された。
しかし、同プロジェクトは、概ね3カ年の時限的措置であり、河道掘削の対策箇所については「重要水防区間のうち、近年、洪水により被災した履歴があり、再度の氾濫により多数の家屋や重要な施設の浸水被害が想定される区間」と限られている。また、市町村管理の普通河川は対象とされていない。
よって、国においては、同プロジェクトが目的としている治水対策が、中小河川を管理する地方自治体にとって真に活用しやすい施策となるよう、下記の事項について取り組むことを強く要望する。
記
1 河道掘削を含む「中小河川緊急治水対策プロジェクト」等の治水対策については、地方自治体の要望を踏まえ、十分な予算を確保すること。
2 同プロジェクトでは、河道掘削の対策箇所を限定しているが、今後は、中小河川を管理する地方自治体がより柔軟な対応ができるよう、対策箇所の拡大とともに、市町村が管理する普通河川の維持・管理も対象とした制度の新設、拡充も含め検討すること。また、国直轄河川の河道掘削についても、周辺自治体の要望を踏まえ、必要な対策を行うこと。
3 「防災・安全交付金」を活用した中小河川の河道掘削については、恒久的な制度となるよう検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成30年7月3日
松 江 市 議 会
子どもと電子メディアに関する問題に対し、国に対策強化を求める意見書
スマートフォン(以下スマホ)、タブレット等の電子メディアの急激な普及は、わが国の子どもの育ちに重大な影響を与えている。近年の研究では、それらへの乳幼児期からの早期接触、青年期までの長時間接触が、子どもの睡眠不足や心身の発達(脳、目、運動器、言語、愛着形成など)の異変や遅ればかりか、今回WHOで疾病として定義された「ゲーム依存」にもつながることが明らかになった。これはもはや各自治体で行う対策のレベルではなく、すでに日本全ての子ども達への対策が急務となっている。こうした子どもの心やからだの発達の異変や遅れは、子ども自身の未来を歪めるばかりか、わが国の未来にとっても座視出来ないレベルとなっている。啓発や広報はもちろん、子ども達が体を使って学ぶ「遊学」や、外遊びができる環境づくりの支援など、子どもの健康と日本の未来のために、国において下記の対策の強化を求める。
記
1 乳幼児期からの子どもの心身の発達に対する電子メディアの影響に関する調査を緊急に実施し、発達段階に応じた電子メディア使用の安全基準を速やかに策定し周知をはかること。また独自に「子どもとメディア」への対策を行っている先進地自治体においては財政的な支援も含めて、国においては抜本的な支援・対策の強化を行うこと。
2 乳幼児及び児童生徒のスマホ・タブレット、ゲーム機などの接触、依存などの実態を把握して心身の発達や健康との関連を明らかにし、WHOで新たに疾病として定義された「ゲーム依存」も含め、他の薬物やたばこなどと同様に有害性や依存性についての教育・啓発を学校教育、幼児教育、家庭教育の中へ積極的に取り入れること。
3 スマホ・タブレット、ゲーム機などを製造・販売する企業に対して、たばこの警告に準じて危険可能性を周知する注意喚起文として、「発達や健康への影響が懸念されています」「発達や健康への安全性は確認されていません」等を商品に表記することを義務づけるよう国において積極的に関連する企業等へ注意喚起すること。
4 子ども達が体を動かし、遊び、学べる環境づくりが「子どもとメディア対策」の中で大切である。プレーパークを始め自治体等が先駆的に行う環境整備事業についても積極的に国が支援を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成30年7月3日
松 江 市 議 会